12月3日、戦争法廃止署名実行委員会は、「安保法制の廃止を求める意見書の提出を求める請願」署名の第二次分1424筆を京丹後市議会に提出しました。署名数は第一次分と合わせて5866筆となりました。
同日、総務常任委員会で審議され、日本共産党の田中くにお市会議員が紹介議員として趣旨説明を行いました。森まさる市会議員が賛成討論を行いました。
総務常任委員会には署名実行委員会や多くの市民が傍聴にかけつけました。
署名実行委員会は引き続き、22日の最終本会議にむけて、さらに署名を集める計画です。
以下、田中議員の趣旨説明を紹介します。
「安保法制の廃止を求める請願」趣旨説明 田中邦生 2015年12月3日
1、経過について
昨年7月の集団的自衛権行使容認の閣議決定以来、戦争する国づくりに反対する運動が繰り返されてきました。通常国会で安保関連法案の審議を通して問題点が明らかになる中、8月30日、国会前に12万人が集まり多くの人々が安保法制(戦争法)反対の声を上げました。若者のシールズ、ママの会、弁護士のみなさんなど立場の違いを超えて様々なみなさんが全国で立ち上がりました。丹後でも「憲法守れ」「戦争法反対」の意見広告が9月13日に新聞折り込みされ、1138人のみなさんが名前を連ねました。また、労働組合の組織の違いを超えて集会が行われるなど、あらゆる組織・団体・個人の運動がこの京丹後でも取り組まれ安保法案への反対の声が上りました。
しかし、国民の反対を押し切って9月19日に安倍政権が強行採決を行い2カ月半が経過しました。
可決した後でも全国の運動は止まることなく、たたかいはここからと安保法制廃止を求める2000万人統一署名が取り組まれています。京丹後では戦争法廃止署名実行委員会を立ち上げ、安保法制廃止を求める署名を取組み5866名の賛同署名をそえて三崎議長に請願を提出しました。
総務常任委員のみなさんが、この請願趣旨にご賛同いただき、市民を代表して政府に対し、「憲法に違反する安保法制をただちに廃止することを求める意見書」を提出して頂きますようお願い申し上げます。
2、立憲主義、民主主義、平和主義の非常事態
安保法案審議の中で、多くの憲法学者や元内閣法制局長官、元最高裁判判事らが「憲法違反」と断じ、国民多数が「説明が不足している」「通常国会での成立は拙速」と可決強行に反対しました。
国会の参考人質疑では、自民推薦の長谷部・早大教授、民主党推薦の小林・慶大名誉教授、維新の党推薦の笹田・早大教授の3人がそろって「憲法違反」と断じました。憲法改正に慎重な立場の長谷部氏は、集団的自衛権の行使を認める安保関連法案について「憲法違反だ」とし、「個別的自衛権のみ許されるという(9条の)論理で、なぜ集団的自衛権が許されるのか」と批判。9条改正が持論の小林氏も「憲法9条2項で、海外で軍事活動する法的資格を与えられていない。仲間の国を助けるために海外に戦争に行くのは9条違反だ」との見解を示しました。
また、宮崎元法制局長官は、集団的自衛権の行使が憲法9条のもとで許されないという見解の積み上げは40数年に達し、これを覆す法案を国会に提出するのは「法的安定性を政府自ら破壊するものだ」と批判。集団的自衛権を禁じた1972年政府見解にある「外国の武力攻撃」を「(日本以外の)外国に対する武力攻撃」を含むと強弁するのは「黒を白と言いくるめるもの」と糾弾しました。
さらに、9月の参院安保法制特別委員会の中央公聴会で、浜田邦夫弁護士・元最高裁判所判事は公述人として戦争法案(安保法制)を「違憲です」と述べ、今の政治のあり方に「日本の民主主義の基盤が崩れていく」と危機感を表明しています。
安倍政権は、こうした憲法学者や法曹関係者の反対や、国民の「戦争法反対」「説明不足」「通常国会での成立は拙速すぎる」など多くの声を無視して安保法案を可決強行しました。政府・与党の多数による「法の支配」の根幹にかかわる立憲主義の否定や、国民世論を無視する暴挙に、大きな怒りと不安の声が広がっています。
国会の討論でも、憲法の平和主義を壊す、「海外で戦争する国」への暴走、解釈改憲による立憲主義の根底からの破壊、異論や批判に耳を傾けない民主主義否定の姿勢(日本共産党の志位委員長)、解釈改憲による立憲主義の根底からの破壊、「憲法違反は明瞭で、強行採決は戦後民主主義の否定だ。即時退陣を求める」(民主党の岡田克也代表)、「立憲主義を理解しないものに総理の資格はない」(維新の党の松野頼久代表)などときびしく糾弾しています。その通りではないでしょうか。
3、国のあり方を具体的に変える「戦争しない国から戦争する国への転換」ストップ
安倍政権は戦争法の成立を受け、アフリカ・南スーダンの国連平和維持活動(PKO)に参加している自衛隊の任務を拡大し、「駆け付け警護」などを可能にすることを検討しています。南スーダンでは、政府と反政府勢力との武力衝突で事実上の内戦状態となっています。NGO(非政府組織)関係者や専門家は、武装勢力は住民の中に紛れて行動することが多く、自衛隊員が非戦闘員の住民を誤射する恐れがあると警告しています。
安保法制は、「駆け付け警護」や宿営地の「共同防衛」への任務拡大について国会の承認を必要としない仕組みとなっており、政府の判断任せです。「駆け付け警護」は、PKOに参加している他国部隊などが武装勢力に攻撃された際、自衛隊が現場まで駆け付け、武器を使って守るという任務です。自衛隊と他国軍隊による宿営地の「共同防衛」などと併せて可能になっています。国会審議で「停戦合意が崩れれば、たちまち深刻な混乱を招き、結果的に憲法違反の武力行使に至る恐れが大きい」(宮崎礼壹・元内閣法制局長官)などと重大な問題点が指摘されていました。自衛隊員が海外の戦闘で「殺し、殺される」という戦後初めての事自態、実際の戦闘に巻き込まれるおそれがきわめて大きくなっています。絶対に起こさせてはなりません。
4、戦後70年間守りぬいてきた立憲主義や民主主義、平和主義を守ろう
このように、日本が政治的立場の違いを超えて、戦後70年間守りぬいてきた立憲主義や民主主義、平和主義をこわす安保法制を、一刻も早く廃止することが求められています。
安保法制(戦争法)が強行されたもとでも運動が留まることなく、国会前で、全国で、丹後で燎原(りょうげん)の火のように広がり安保法制の廃止を求める自覚的・自発的な国民のたたかいが行われています。
このたたかいは、戦後70年、憲法の理念、民主主義の理念が国民の中に深く根をおろしています。立憲主義や民主主義、平和主義が非常事態ともいえる緊迫した情勢の下で、30代のママは「戦争に子どもを行かせたくない、そんな思いで子育ては嫌です」と署名をしています。80代のおばあちゃんは「兄が出征した時に、万歳、万歳と送り出したのに帰ってこなかった、もう絶対に戦争はいらんです」と署名をしていただきています。また、旧町時代の行政委員会責任者や元保守系議員さんも「ええことしとんなる、この署名はやらせてもらいます」と署名に願いが寄せられています。
市民を代表する市議会が、この「立憲主義と憲法9条を守れの市民の願いを受けとめて政府に対して意見書を上げることが、京丹後市民の安心安全を守り平和を守ることに繋がるものと確信します。
総務常任委員のみなさん、以上の趣旨にご賛同いただき、請願項目にありますように「政府に対し、憲法に違反する安保法制をただちに廃止することを求める意見書」を提出して頂きますようお願い申し上げます。
以上